2009-01-01から1年間の記事一覧

『カールじいさんの空飛ぶ家』

『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009) アポロシネマ8で。本編前の『トイ・ストーリー3』の宣伝でもう胸が熱くなった。短篇「晴れときどきくもり」の汚れ仕事(?)を引き受けた者同士の友情、無声映画風に綴られるカール爺さん夫婦の回想、秘境に家を不法…

シークリット・ヌーネス『ミッツ ヴァージニア・ウルフのマーモセット』

いまや、ピンカの毛に秘められた魅力は蚤だけではなくなった。読者の皆さんは覚えているだろう。ミッツは寒がりだった。彼女はほどなく家中で一番暖かいところを見つけた。普段より寒く湿気の多い夜は――イギリスの夏には、寒くて湿気の多い夜がよくある――、…

今年最後の更新

来年こそは魔の山に挑みたいもんです。

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』

テアトル梅田で。つっこみどころはヲタ同士のお喋りで言いつくしたので最小限にとどめたい。でもやっぱりキングとウルトラの母の声優の演技は酷かったと声を大にして言いたい。小泉純一郎のメロウな囁きは気色悪いし長谷川理恵はなぜ起用したと詰め寄りたい…

『仮面ライダー×仮面ライダーW&ディケイド MOVIE大戦2010』

梅田ブルク7で。ワンピ客の波に呑まれながらもなんとか初日に鑑賞。不完全燃焼な夏の映画よりは楽しめた。イイ科白だけ残してさっさと退場したGACKTと違い吉川晃司がスカルに変身して戦う場面もあるし。翔太郎と別世界のおやっさんとの「再会」は素直に感動…

『灯台守の話』『神の息に吹かれる羽根』他

読書めるも。ゆきこんこん物語作者: さねとうあきら,井上洋介出版社/メーカー: 理論社発売日: 2006/01メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (2件) を見る女の足指と電話機―回想の女優たち作者: 虫明亜呂無出版社/メーカー: 清流出版発売日: …

『指』(1982年)

(原作 松本清張/脚本 八木柊一郎/監督 出目昌伸) 「火曜サスペンス劇場」史上最高視聴率を獲得した作品。 名取裕子は偶然知りあった松尾嘉代と恋に落ちる。二人は松尾のマンションで逢引を重ねる。だが名取は次第に松尾を疎ましく思うようになりある晩首…

いとうせいこう+奥泉光「文芸漫談」シーズン3番外編「傑作小説を笑う 夏目漱石『三四郎』」

昨日、大阪府松原市文化会館で行われた文芸漫談を観て来ました。ナマ蝶ネクタイいいね。 いとうせいこうは意外に精悍でスリムなスタイル。奥泉先生もとても53歳とは思えない、背広に着られた感あるガリ勉坊や風味な愛嬌をふりまいておりました。前段のお喋り…

『わるいやつら』(1985年)

(原作 松本清張/脚本 大野靖子/監督 山根成之) 女たらしの病院長・古谷一行は、名取裕子と結婚するために悪事を重ねるが…。「霧企画」制作による「火曜サスペンス劇場」作品。ナイトクラブで「聖母たちのララバイ」のピアノ演奏が流れる内輪ネタあり。加…

『品格と色気と哀愁と』『人間豹』他

最近読んだ本をメモ。 余裕ないので手短に。ジェイン・オースティン料理読本作者: マギーブラック,ディアドレル・フェイ,Maggie Black,Deirdre Le Faye,中尾真理出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1998/03/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見…

アイザック・バシェビス・シンガー『よろこびの日―ワルシャワの少年時代―』

ほとんど知られていないけれども、喜劇も悲劇もともに豊富なある世界のありさまをつぶさに見てもらうのがわたしの念願です。それは知恵とおろかさ、激しさと優しさに満ちた特色ある小世界なのです。 I・B・シンガーはポーランド生まれのユダヤ人。第二次世界…

『ニュー・ゴシック ポーの末裔たち』

twitterはやめちまいましたが、ブログ更新はぽつぽつ続けます。 鈴木晶・森田義信編訳『ニュー・ゴシック ポーの末裔たち』読了。 編訳者あとがきを要約すると。ミニマリズム(ニューリアリズム)は、自分の目に見える範囲の日常だけをこと細かに写生する。…

第217話「教育ママ殺人事件」

(脚本 増村保造/監督 富本壮吉/出演者 原知佐子 加藤治子 名古屋章 長谷川哲夫 堀井永子 小笠原良智 篠田三郎) 唐突ですが再開。今後も好きな回だけ感想を書きます。 「永和金属」社員寮。原知佐子の夢は息子を私立の名門「メイカ大学」付属小学校に入学…

『風の視線』(1963年)

原作は「女性自身」に掲載された松本清張の同名小説。媒体を意識してかミステリ要素は控えめで、代わりに昼ドラじみた複雑な恋愛模様が展開します。 園井啓介は岩下志麻と結婚したばかりなのに新珠三千代に迫る。新珠は園井の気持ちを理解した上で岩下を押し…

鹿島田真希「万華鏡スケッチ」

『ピカルディーの三度』におさめられた短篇。初出は「en-taxi」2004年第05号。『一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する』刊行後、しばらく沈黙していた鹿島田さんがこの小説を発表したときは、内容の素晴らしさと相まって感激しました。同年「新潮」に『白バ…

対談「戦後文学2009」高橋源一郎+奥泉光(「群像」8月号)

本当にメモだけ。当代随一の書き手であり読みの巧者でもあるお二方が日本文学とひとくちでいえども漱石太宰村上だけじゃないよ他にも豊饒な土壌があるよと説くシリーズの前夜対談。 後半は楽屋トークみたいなものなので省略。 ・企画の理由 奥泉 ぼくが戦後…

『モーパッサン短編集(一)』

作者の故郷ノルマンディなど田舎を舞台にしたコント集。 詩情豊かな自然や過ぎた愛の哀しみを描きながらもどこか冷めたユーモアをこめる。また田舎者の純朴さを手放しで持ちあげたりせず、性暴力や動物虐待といった獣性も遺憾なく暴きだす。 「田舎娘のはな…

津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』

主人公の大学生「ホリガイ」の造形が良い。四年間勉強とバイトに励み、いち早く地元の役所に就職できた優秀さをひけらかしもせず、かえって台無しにする駄目な部分を持ちあわせている。下宿は散らかし放題で、自分のブラジャーの金具を踏んで悲鳴をあげる。…

「蔵の中」(ホームドラマCH)

津村節子原作。美容師の太地喜和子が昔起きた妖しい悲劇を回想する。母親(太地の二役)が田舎の金持ち(佐藤慶)の家政婦兼愛人となり、広大な屋敷で三人仲よく暮らすことに。だが佐藤慶には認知症の妻が居た。妻は食糧をたくわえた蔵の中に閉じこもり、藁…

『夏の妹』(日本映画専門CH)

死者が集う法事を垣間見たような楽しさがあって好き。爺さん二人が海に落っこちようがどうせ死んでいるのだから死なんだろうなと。いつもは厳しい面の大島組の皆さんが朗らかに飲んだくれ、歌をうたい他愛もないお喋りに耽る光景に凄く安心する。父親役は小…

ちょっとしたあれこれ・またぎ男

土曜、南港の古書市へ。『プラネタリウム』『夢魔』『ラモーの甥』『人形たちの夜』『海と薔薇と猫と』とウルトラシリーズのムックを購入。掘り出しものを見つける気概とか全然なくて平凡なセレクトの割に高くついた。日曜は天王寺のABCクラフトをうろちょろ…

西条八十『人食いバラ』

毛糸玉売りのみなしご英子がひょんなことから大金持ちの元男爵の後継ぎとなる。会ったばかりの老い先短い元男爵から全財産を譲ると言われ困惑する英子。彼には姪の春美という美少女が居たが、春美は浪費家なうえ「おそろしい病気」に罹っているため後継ぎに…

タニス・リー『悪魔の薔薇』

「現代のシェヘラザード姫」の異名をとるタニス・リーの短篇集。 「別離」。吸血鬼は普通、不老不死の身体を持つ妖美な怪物として表現されがちだが、この小説に登場する女吸血鬼は、全ての生き物と同じく醜く年を取る。さる高名な吸血鬼と違い、人間を襲うこ…

第207話「今晩は宝石泥棒デス」

(脚本 池田雄一/監督 土井茂/出演 玉川良一 若水ヤエ子 稲野和子 酒井修 篠田三郎) ここ最近、立て続けにビル荒らしが発生、被害総額はおよそ二億円にのぼる。世間では賊を「和製怪盗ルパン」と呼んで怖れていた。マツノ夫人の邸宅にも黒装束の賊が侵入…

ちょっとしたあれこれ・三百三夜の雨の後

・座頭市シリーズ(時代劇専門ch)は、毎日頑張って見なければと思いつつ、重過ぎて無理。 はじめは善人がほとんど死なず常にハッピーエンドを迎えるような、後味すっきりとした娯楽時代劇だったのだけど、新・座頭市第2シリーズになるともう容赦がない。李…

第205話「ズッコケ野郎は骨までしゃぶれ」

(脚本 山浦弘靖/監督 富本壮吉/出演 平泉征 渚まゆみ 桜井浩子 殿山泰司 藤木孝) 今回の主役は「ズッコケ野郎」。貧乏百姓の小倅。高校にも行けず日陰者の一生を送るはずだったが、思いも寄らない幸運に恵まれる。母親と二人暮しをしている土地が高速道…

ちょっとしたあれこれ・悩みのひととき

暑さでだれているので、ほんとにちょっとだけ。 ・連休はスパワールドとカラオケでゆるゆると。あとは食っちゃ寝。 ・柳さんの「グッド・ミン」読了。柳さんと思しき小説家とその彼氏が、いれかわり穏やかならない日常と不幸(愛犬の死)を語る。複数の語り手…

ちょっとしたあれこれ・グングンちゃん!

・最近はドージーの称号を欲しいままにしておりまして……クロネコが来たからサインして、そのままブツも受けとらずに玄関の戸を閉めようとしたとか、カップ焼きそばを作ろうとして湯きりする前にソース入れたりとか。他にも多々やらかした気がするが忘れた。…

第204話「ガードマンを死刑台に送れ」

(脚本 藤森明/監督 土井茂/出演 磯村みどり 戸浦六宏 久米明 寺島達夫 桜井浩子) 荒木は新たに赴任したビルで高校時代の同級生、花井と再会する。以前は札付きの不良少年だった彼は私立探偵となり、日に十人もの客の相手をしていると自慢げに語る。荒木…

第203話「怪談・呪いの館」

(脚本 山浦弘靖/監督 弓削太郎/出演 入川保則 山東昭子 応蘭芳) 女主人の財産をめぐって三人の子供たちが蹴落としあう話。 清水いわく「毒薬を飲むようなマヌケなガードマンは一人も居ない!」と。それはそうなのだけど、これまでにもマヌケと咎められて…