2010-01-01から1年間の記事一覧

『風船』(1956)

森雅之は写真工業会社の社長。若い頃は天才画家と持て囃されたが、金のために絵を描くことを嫌い、筆を捨て逆に実業界へ転じた。今では高台の豪邸に妻と二人の子供と暮らしている。娘の芦川いづみは、小児麻痺のせいで身体が不自由だが天真爛漫な少女。世間…

『猫と庄造と二人のをんな』(1959)

芦屋で荒物屋をいとなむ森繁久彌は大の猫好き。「リリー」と名づけた飼い猫を、四年連れ添って別れた妻(山田五十鈴)や、再婚した妻(香川京子)よりも愛している。だが山田の申し出により、彼女にリリーを譲ることに。山田は森繁の母親(浪花千栄子)が香…

『雁の寺』(1962)

2月のチャンネルNECOでは、「【特集】女優・若尾文子×監督・川島雄三」と題して、『女は二度生まれる』『しとやかな獣』『雁の寺』を放送していました。そのなかから川島監督らしさ、といってもわたしは有名な作品しか知らないのですが、「ちょっと狂騒的な…

『下女』(1960)

九条シネ・ヌーヴォで。ほうぼうで絶賛されているのを真に受けて、どれほど壊れた映画かと期待していたけれど案外、端正な映画でした。あれを端正と言いきる自分の感性がおかしいだけかも。物語は陳腐とさえいえる家庭崩壊劇ですが、登場人物たちの心がすさ…

『タデ食う虫と作家の眼』『憑かれし者ども』他

愛のイエントル作者: アイザック B.シンガー,邦高忠二出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1984/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るタデ食う虫と作家の眼―武田泰淳の映画バラエティ・ブック作者: 武田泰淳出版社/メーカー: 清流出版発売日: 20…

『アバター』(2009)

なんばパークスシネマで。映画体験に吐き気や頭痛は要らない。快楽だけが欲しい。物語がどれほどグロテスクで陰惨でも人の不幸は蜜の味、暗い快楽が生じるけれど形式というか、視界&体感責めで来られると歯が立たない。慣れると大丈夫とは聞いたけど、よほ…

『活発な暗闇』他

読書メモ。仕切りなおし。活発な暗闇作者: 江國香織出版社/メーカー: いそっぷ社発売日: 2003/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (18件) を見るちいさなちいさな王様作者: アクセルハッケ,ミヒャエルゾーヴァ,Axel Hacke,Micha…

『ある日わたしは』(1959)

(監督 岡本喜八/脚本 岡田達門 井手俊郎) 新年はじめの映画感想。いつもながらやりくり下手なもので、映画館に行く機会が少ないため旧作に偏りがちですが、よろしくおつきあいのほどを。 日本映画専門チャンネルでは現在「―映画のすべて、ここにあり―娯楽…

『海鼠の日』『わが子キリスト』他

たくみと恋 (岩波文庫 赤 410-0)作者: シラア,実吉捷郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/03メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る不運な女作者: リチャード・ブローティガン,藤本和子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/09/29メディア: …