第204話「ガードマンを死刑台に送れ」

(脚本 藤森明/監督 土井茂/出演 磯村みどり 戸浦六宏 久米明 寺島達夫 桜井浩子
荒木は新たに赴任したビルで高校時代の同級生、花井と再会する。以前は札付きの不良少年だった彼は私立探偵となり、日に十人もの客の相手をしていると自慢げに語る。荒木は旧友の成功を喜び、互いに煙草で一服する。だが花井は顧客と喧嘩した晩、オフィスで不審な拳銃自殺を遂げる。その客もまた何者かの策略により、交通事故にみせかけて殺害される。
荒木は花井の妻と、大学教授である彼の実兄に会い、驚くべき真相を聞く。彼は言葉とは裏腹に収入が全くなく、家にも一切生活費を入れていなかった。彼と不倫していた女秘書が住むマンションを訪ね、更に探りを入れると彼が何者かに脅され、強請り屋として働いてたことが判明。荒木は黒幕の名を聞くが、侵入者に薬で眠らされる。翌朝ベッドの上で目覚めると、隣に秘書の死体があった。しかも互いに上半身裸、自分の手を縛っているストッキングが、秘書の首にも巻きついている……。慌てて外に飛びでると、今度は他の住人に自分が殺したものと誤解され、思わず逃走。花井の妻にかくまわれる。
高倉キャップたちは、荒木を殺人犯にでっちあげるための巧妙な罠だと憤る。手分けして捜査するうちに、「松永金融」社長とその部下が強請り屋であるとつきとめる。キャップは松永たちを追いつめる途中、拳銃で撃たれて負傷。一方、悪人たちは花井の家に行き荒木、妻と兄を人質にとる。キャップは命令通りひとりで、三人が監禁されたビルの地下室に向かう。
松永たちは悪事を知るものを皆殺しにすべく、時限爆弾を仕掛ける。だがキャップと荒木の活躍により形勢逆転、松永たちを捕まえる。荒木は松永に「花井を殺したのはおまえか」と問いつめるうちに、ふと兄の行動に疑問を抱く。花井はふだんフィリップ・モリスしか吸わないのに、死体のそばにはマルボロの箱が落ちていた。いま、兄はマルボロを吸っている……。荒木の飛躍気味の推理に気おされ、兄はあっさりと罪を認める。彼は花井から何度も金をむしりとられ、このままでは家族にも害が及ぶのではと怖れていた。花井の妻も彼が家に金を入れないばかりか、秘書と不倫までしていることに恨みを持っていた。ふたりは共謀して花井を殺害。今また荒木たちの口を封じるため、部屋に灯油をまいて焼き殺そうとするが、妻がうっかり自分のタイトスカートに灯油をぶっかけてしまい、火が燃え移ってしまう。その隙に荒木たちはふたりを取り押さえ、事件解決。荒木は自分を救ったキャップへの信頼を深めるのだった……てな話。

・ガードマンたちの優しさと絆の強さを強調したハナシ。死んだ旧友のため奔走する荒木、そして負傷しながらも部下を救おうと単身、敵のアジトに乗りこむ高倉キャップが格好良いです。荒木は高校時代も、不良だった花井が卒業できるよう尽力したのだそうで。ほんといい奴。推理力も凄いし。でも女秘書を殺したと勘違いされ、マンションの廊下を上半身裸で、背広とズボンを抱えて逃げる姿は、以前もどこかに書いたけれど間男っぽかった。
・花井を「ヤブガラシ」だと憎む兄貴に久米明。つるべの家族に乾杯のナレーションのひと。ガードマンでは堅苦しい外見に反し、金や名誉のためなら殺人も辞さない非道な悪役が多い。今回は磯村みどり演じる、孤独と困窮にあえぐ妻同様、動機としては共感できる方。単に共感をひき寄せる可哀想な犯人というだけじゃなく、真相を知った者みな焼き殺そうとするあたりの過剰さがガードマンの悪役らしい。にしても磯村さん、自分のスカートに灯油浴びせるってどんだけドージーなんだ……あるイミ欲情ポイント。