ちょっとしたあれこれ・グングンちゃん!

・最近はドージーの称号を欲しいままにしておりまして……クロネコが来たからサインして、そのままブツも受けとらずに玄関の戸を閉めようとしたとか、カップ焼きそばを作ろうとして湯きりする前にソース入れたりとか。他にも多々やらかした気がするが忘れた。ドージー脳。
吉村公三郎特集(日本映画専門CH)。『越前竹人形』『夜の素顔』を流し見ただけなのでよくわからんのだけど、要するに「女性映画」って〈女たちが運命に翻弄され、苦しみ藻掻く姿がエロティックでちょっといいよねー〉と陰湿になごむジャンル、という解釈でOK? こんないじけたマゾ映画を文芸大作として喜んで見ていた客層、てのがいまいち想像つかない。『越前竹人形』の若尾文子は、強姦されて身ごもった子を堕胎しようとするが失敗して死ぬ。手術中?に川が流れる風景が映しだされていたはずだけど、あれが子殺しの喩えだとしたら、いくらなんでも安直すぎる。
『夜の素顔』の京マチ子も、舞踏界を色仕掛けでのしあがるも、恋人を弟子の文子さまに奪われるわ、借金背負いながら再起をかけた公演中に倒れ、やっぱり死んじゃうわと散々な目に。京マチ子が風呂からタオル一枚で出てくる、自分を裏切った文子さまを押し倒し打ちのめすなど、男目線を内面化できているなら、まあ歓迎できそうなわっかりやすい描写には苦笑させられた。音楽も、怪獣映画じゃないんだから、そう仰々しく盛りあげなくてもよいだろうに。場面転換の慌ただしさもふくめ、繊細さを気どりながらどこか配慮に欠けた、端的に不快な映画。でも妙な中毒性がある。
・先々週、ガードマンの67年版DVD―BOXを買った。見逃していた回をチェックするうちに、本郷功次郎岸田今日子も出ていたことを初めて知った。ファンにはあるまじき無知。藤巻潤木の実ナナのデュエットも聞けるし、この年以降は出演のない天知茂江波杏子錚々たる面子が集うしで超お得。わたしのおすすめは、「お姐ちゃん」シリーズの中島そのみが男たちをふりまわす第109話「忘れられない顔」。そのみ嬢はワガママで声がヘンだけど、男たちを出しぬく聡明な新人女優の役。犯人の魔手から助けてくれた荒木の頬にキスするところなど、かいぐりしたいほど可愛い。あと、いくつかの話に、当時18歳の篠田三郎が端役で出演している。まだ顔が引き締まっていないというか、寝ぼけまなこでぽそぽそ喋っているのが初々しくてステキ。
・篠田といえば、先週の「土曜スペシャル」で三ツ木清隆と一緒に、北海道の帯広から根室を旅していた。『ウルトラマンタロウ』の宇宙警備隊コンビ。三ツ木がノリノリでタロウネタをふると、篠田が照れ笑いを浮かべながら「そんなのもう誰も覚えてないよ……」などとかわそうとする、そのくせ敬礼には応じるという衝撃的な場面も見られた。爺むさい服装とよれよれの帽子も、飾らず気さくな人柄を感じさせた。同じ日に時代劇専門CHで放送されたNHK大河ドラマ、『草燃える』では源実朝を演じ、公暁に襲われ斬首されていた。「公暁、わたしはおまえを……」と悲しげに呟き、公暁に抱きつくさまが実になまめかしい。身悶えしました。持ち前の爽やかスマイルとともに、真っ直ぐ前を見すえながら苦痛に沈む表情も彼の本領。『必殺仕事人』SPもよかったし、今年は個人的に篠田イヤーとしたい。最近だと昼ドラ『夏の秘密』で、娘であるヒロインと婚約者をひき離そうとする傲慢な父親役をやっているけど、聞き分けのない婚約者に腹をたて、それまで丹念に磨いていたラグビーボールを床に叩きつけてました。しかも婚約者(ラガーマン)は見事にキャッチ。なんなんだ。
・本も読んでるよー。スガちんの『詩的モダニティの舞台』、『松本清張映画化作品集2 鬼畜』、パヴェーゼ『美しい夏』、葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』、後藤明生による現代語訳版『雨月物語』など。「鬼畜」好き、というと正気を疑われるかもしれんけど、饅頭に青酸カリが入っているとすぐ気づけるくらいにはセンシティブでありたいと思う。