第198話「怪談・車に乗った幽霊」

(脚本 山浦弘靖 富本壮吉/監督 富本壮吉/出演 根上淳 太田博之 村松英子 文野朋子 益田ひろ子)
リュウイチが妻を連れて自慢のスポーツカーでドライブに出かけた帰り道。ふざけて猛スピードで走っていたところ、誤って女中の娘ユキを轢き殺してしまう。だが彼は保身のため、ユキの死体に重石をくくりつけて海に落とし、轢き逃げの事実を隠し通そうとする。女中は行方不明のユキの身を案じ、彼女が勤めていたホテルのガードマンに相談。荒木は婚約者だと偽り屋敷に入りこむ。リュウイチはユキの幽霊を見るようになり、神経を苛まれる。屋敷の住人の誰かが幽霊に化けて自分を脅しているのではと疑い、女中、妻の従兄弟、そして妻さえも殺そうとするが……てな話。

・事故のあと洗ったはずの車に血がべったりと付着し、女の髪の毛が絡みついている。青ざめた肌に血を垂らし、髪を振り乱した幽霊が出没する。無人の闇夜に啜り泣く声が響く……などの既視感ばりばりなショックシーンが特色の怪談物。後に量産される、実は何者かが財産もしくは社会的地位を奪うために仕組んだ芝居だった、というオチのパターン化が既に完成されています。それにしても、太田博之が女装して幽霊に化けていた、根上淳に海に落とされても泳ぎが上手くて助かった、と語られてもすんなり許容できるあたり、自分はよくよくガードマンの突飛な設定(というか粗製濫造された山浦脚本)に毒されたもんだと思いました。蛇足としかいいようのないクルマ社会批判もふくめ、正直おもしろくはないですが、アナクロな怪奇趣味を雰囲気だけ楽しめればよいかと。