第200話「殺人者に明日はない」

(脚本 増村保造 加瀬高之/監督 富本壮吉/出演 緑魔子 成田三樹夫 田口計 高橋長英
オオタ青年がフラメンコギターを学ぶためスペインに留学中、何者かに銃殺されてしまう。
東京パトロール社は彼の父親の依頼を受け、犯人を捜すことに。高倉キャップは「幸い清水は歌もうまくギターも弾ける」と言い、彼を音楽留学生として派遣する。
舞台はスペイン。清水はギターの教師タケムラ、彼の友人クボ、フラメンコダンサーのマリに会う。マリは以前オオタとつきあっていたが、いまはタケムラに力ずくで関係を迫られていた。
清水は彼女を連れて逃げる途中、タケムラが麻薬組織の一員であり、オオタも仲間だったと知る。マリもまた二重底のギターに麻薬を隠し、フランスやイタリアに持ちこんでいた「運び屋」だった。
ポルトガルのナザレに拉致された彼女を救出するも、今度はタケムラが殺害される。彼の友人クボも悪党の本性をあらわす。清水は組織のボスが乗るレジャーヨットを襲い、全員なぎ倒したあとでクボを締めあげるが、マリがいきなり彼を撃ち殺す。彼女こそボスの情婦であり、オオタとタケムラ殺しの真犯人だったのだ。
マリは冷たく言い放つ。タケムラの言いなりになっていたわけは「マゾヒストだから刺激が欲しかった」、清水を連れまわしたのは、輝く太陽の下でアバンチュールを愉しみたかったからだと。そして銃弾をつめた箱を撃ち、船もろとも爆死する……てな話。

・恒例のヨーロッパロケ敢行。『あまるふぃ』なんざメじゃない、かどうかは知らない。
・冷徹な美貌の悪女に緑魔子藤巻潤のムード歌謡「ポルトガルはヨーロッパの果て」を彼女が歌う場面もあり。ナイトクラブでフラメンコを踊るところは、最終回の関根恵子よりも妖艶でサマになっています。といっても引きの場面では別人が演じているようですが。冒頭殺される青年に高橋長英。こんな端役で使うには勿体ない。魔子さんを手ごめにする悪党には田口計。協力者にみせかけて清水の命を狙うクボ役に成田三樹夫田口計ともどもハイネック姿が粋。三人揃ってこめかみを撃ちぬかれて死ぬのがまた壮絶。
・『映画秘宝』7月号の緑魔子さんインタビューより、ガードマン関連の発言をメモしておきます。

――『ザ・ガードマン』にもよく出演されていましたが。
 レギュラーではないですが、ゲストでよく使っていただいて、ヨーロッパなど海外には何度もロケに行きましたね。オランダには2回行ったし、ポルトガル、モロッコも行ったなあ。その当時KLM(オランダ航空)で行くんですけど、タラップを上る前に、飛行機の前でスタッフと出演者とみんなで正装して記念撮影するんですよ。
――宣伝用にですか?
 いいえ、自分用に撮るんですよ。当時は1ドル360円時代ですから、海外に行くのは珍しいことでしたからね。ファーストクラスなんてそもそもなかったかもしれないし、みんなエコノミーでした。それでも客室はすいてるから、みんな横になったりして乗っていましたよ。私、それから何十年か経って、米国留学していた娘に会いに、飛行機で行ったんです。そうしたら当時とは搭乗や機内の雰囲気がまったく変わっていてビックリしました。だって、お客さんがジャージなんか着てるんですよ!(笑) あれはカルチャーショックでしたねえ。当時は飛行機でどこかに行くとなったらみんな正装でしたから。