第311話「ハレンチ歌手が次々と殺される夜」

(脚本 山浦弘靖/監督 宮下泰彦/出演 太田博之 夏桂子 酒井修 平泉征 綾川香 後藤ルミ/主題曲「友情の讃歌」歌 津江不二夫とコンソルティーノ(クレジットでは「コンソルテイノ」)
 結成四年目を迎えた人気ナンバーワンGSバンド、「ザ・フレンズ」。ファン感謝デーのライブを無事終えた四人は、芸能プロダクション「キノプロ」の木下社長と小川マネージャーを伴い、裏磐梯山高原ホテルへ。春のスキー旅行でひと息つくことに。今回は荒木と吉田さんが警備担当・ボーイの代わりに荷物持ちまでするキメ細やかなサービス精神発揮。
 皆で祝杯をあげ・五年目もかくあるように頑張ろうと盛り上がるなか、メンバー一の人気者ジローが良好な雰囲気をぶち壊す。「このままではマンネリで進歩がない」「独立したい」などと非難し、メンバー一の不人気者サブローと取っ組み合いに。リーダーのイチローが、人気もなく貧乏だったが友情厚かった頃を思い出せと叱るが、ジローは意志を曲げようとしない。社長、マネージャー、ジローの恋人でボーカルのヨーコも独立に反対。腹をたてたジローがカマクラのなかに寝転がっていると、ヨーコが慰めに来る。「皆の前では胸のうちを言えなかった」と、ひとり賛同してくれた恋人をジローは抱き締める。その隙を縫い、黒いニットキャップとゴーグルで正体を隠した何者かが、スキーストックでジローの手を突き刺す。たまたま見回り警備していた荒木が追いかけるが間に合わず。ジローは、犯人はサブローではないかと疑う。
 翌朝ジローとヨーコがスキーをして遊んでいると、再びライフルで狙撃され生命を狙われる。全治一週間の負傷程度で助かったものの、荒木たちは事件の背景にバンドメンバーの確執・内輪揉めがあるのではないか、と真相を探ろうとする。が、イチロー含め誰もがスキャンダル発覚を恐れ、まともに取り合わない。逆に社長に「ガードマンの警備区域なのに」「何億もの賠償を請求するぞ」と怒鳴られ、スゴスゴ引き下がる
 ジローが臥せっているのをいいことに、ヨーコと社長がいちゃついているのをマネージャーが盗み聞き。ざまあみろといわんばかりにサブローがジローに現場を見せ、恋人の醜態にぶちぎれたジローは灰皿でふたりを打ちのめそうとする。仲裁に入った荒木たちは、またも「プライバシーの侵害だ」と追い返される。
 その晩、ジローが自室で寝ているとドアの隙間からヨーコの呼び出し状を受けとる。外に出て煙草を吸いながら待っていると、くだんの犯人に頭を撲られ卒倒。荒木たちが発見したときにはもう、冷たくなっていた。警察は「凍死」と断定イチローは「ザ・フレンズ」のテーマソングを一晩演奏しながら死者を悼もうと提案・だがヨーコが泣き崩れたため歌いだしで中絶。社長から犯人扱いされ、おまけに「才能がない」とまで貶されたサブローが、自棄糞気味に自室で不貞寝していると、ジローに続きまたもや犯人に撲られ・薬をのまされる。荒木たちの素人検死の結果、サブローは「睡眠薬の飲み過ぎによる中毒死」。今度こそは警察に通報すると伝える。
 社長は「ザ・フレンズ」の解散を宣言。メンバー一仲間思いのイチローは口惜しがるが、秘密の恋人であるマネージャーに「社長がサブローを殺した」「ヨーコさえ取り戻せばバンドを続けられる」と煽動され、最後の賭けに出ることを決意する。ヨーコを捕まえ・社長を山小屋に誘い出して兇器を突きつけるが、相手もまた剃刀やらストックで応戦。ヨーコの急襲で一命を取り留めた社長は、イチローを転落死に見せかけて殺害しようとするが、そこへ例の殺人鬼が現れ、ライフルでふたりの男を狙う。犯人は、イチローの恋人のマネージャーであり、ヨーコもぐるだった。「いまやGSは落ち目」「ザ・フレンズが潰れようと関係ない、ヨーコだけが商売になる」と考えたマネージャーいわく、最もバンドに未練のあるイチローをあきらめさせるために仲間を殺した、加えてヨーコの独立を阻む邪魔者、社長もまた消さなければならない、と。
 そうしてライフルを構えた瞬間、荒木たちが止めに入る。恋人を裏切り欲得に走った悪女とガードマンによる、決死の雪原追いかけっこがはじまる……てな話。

今回で今年のファミ劇放送分、終了。締めくくりを飾るに相応しい……とは言い難い珍品。
・平泉征、GSアイドルになる。ウエーブがかった茶髪に薄桃色のサテンシャツで身を飾るも、中身はちんぴらそのもの
・連続殺人を犯す動機が、こみいり過ぎていて(?)わけがわからない……芸能界は地獄ってことか。その前に社長、マネージャーが大株主になっていることくらい気づけよ。