第136話「九州横断道路」

(脚本 石松愛弘/監督 土井茂/出演 三上真一郎 今井健二 寺田史 桶浦勉)
テツジロウが久々、故郷熊本の放牧場に帰って来た。
幼友達のゴロウとミキは歓迎、東京での土産話のひとつでも聞けるかと思いきや、テツは唐突に「でかい儲け話」を持ちかける。九州横断道路を走る現金輸送車を襲おうというのだ。相手はガードマンだ、絶対うまくゆくわけがないと怯むゴロウ。一方、退屈な田舎暮らしに厭き厭きしていたミキは、喜びいさんで話に乗る。
例によって東京パトロール社は「阿蘇白雲山荘」に出張警備室を置き、ホテルの警備だけでなく、ホテルの拡張工事に就く労務者八百名の給料輸送にまで手を広げていた。警備室には高倉キャップと小森さんが居り、常に清水、杉井君と無線で連絡を取りあい、ホテルで現金の受け渡しをする手筈になっている。テツは事前に無線が届かない場所を調べており、計画は万全だと強調する。
清水たちが大分市の豊後銀行に行き、今月分の五千万を受けとり車で出発する様子を監視するテツ。それを見つめる謎の男。
ゴロウとミキはバイクでパトカーを挑発。坂の上で待機していたテツは血糊を撒きバイクを倒して事故に見せかける。そして道路に横たわる二人の男女を病院に運ぼうと車外に出た清水たちに銃をつきつけ、給料を出せと迫る。ジロウと揉み合う杉井君の肩を撃った後、人気のない坂道でトランクを開けろと命じるが清水は応じず、再度乱闘に。「シャッターは開けられない、鍵はキャップが持っている」と清水。仕方なくテツはパトカーに藁をかぶせて隠し、清水たちを山小屋に捕縛する。が、ゴロウが友達の急激な変貌を恐れ、「おまえが持っていると人を殺す」と拳銃の奪い合いに。ミキはテツに加勢・テツのような男こそ魅力的だとゴロウの臆病を笑う。
そこへ東京からテツを追いかけて来た兄貴分のやくざが現れ、組のショバ代を持ち逃げしたことを理由に銃殺しようとする。五千万あるから助けてくれと命乞いするテツ。やくざ同士の争いを尻目に、ゴロウはガードマンを解放しようとする。清水がミキの隙を突いて銃を奪うが、テツとやくざが踏み込み再び形勢逆転。ゴロウとミキも一緒に捕縛し、小屋に時限爆弾を仕掛けると、清水だけ連れてパトカーを隠した脇道へ。
その間、キャップたちは一号車からの定時連絡も応答もないことに不審を抱き、捜索に出発。脇道を虱潰しに探すうちにテツに出くわし、オペルレコードを見かけなかったかと訊ねるが相手は空とぼける。疑惑を感じつつも深追いできず、あきらめて去ろうとするキャップたちに居場所を知らせるため、清水は非常装置のサイレンを使うことを思いつく。
車のトランクを開け、ケースを持ち出そうとするテツをやくざが容赦なく撃ち殺す。これで大金を独り占めできると喜んだのも束の間、サイレンが鳴り響く。「時間をかけなければ止められない」という清水の言葉を信じ、阿蘇の「たいひごう」(噴火の際逃げ込む場所)へ赴く。
キャップたちは仲間割れの惨状を発見。車の録音機から小屋の場所を知り、急いで駆けつけると爆弾を止める。そして清水たちを追って阿蘇の火口へ……てな話。

重傷を負っているとはいえ、縄を切るとか爆弾の時限装置を取り外すとかも出来ず、ひたすらウンウン唸っているだけの杉井君がまことに不甲斐なく……自称不死身の超人を同僚に持ってしまった災難というか。