第309話「顔に傷のある悪女」

(脚本 池田悦子/監督 小西通雄/出演 北林早苗 川合伸旺 南原宏治 大辻伺郎 藤村有弘)
ワカコは「ミス東北」に選ばれたこともある美人で、東西銀行会津支店長次長ヤマグチの妻。自分の容姿に不満を持つ姪のユキエに整形手術を勧め、知りあいに東京の大学病院に勤める外科医が居ると言う。だが当の外科医ツダは、ワカコを見るなり慌てふためく。ふたりは元々、恋人同士だったのだ。ワカコを捨てた弱みがあるツダは、仕方なく頼みを引き受けるが手術は失敗。ユキエの右頬には、皮膚が爛れたような痕跡が残ってしまう。
ある日、病院で調べ物をするツダのもとへ、学生時代友人だったマエカワが訪ねて来る。彼はすっかりやくざ者となっており、ユキエの代理人として慰謝料2千万を要求する。「特異体質のせいでそうなっただけだ」とツダは弁解するが、サングラスとマスクを外したユキエの無惨な頬を見るなり、言葉を失う。病院側はツダが勝手に整形手術を行った上、やくざに怒鳴りこまれたことに憤慨しクビにする。職場を失ったツダは、マエカワに唆され、故郷会津に戻る。
ヤマグチ・マエカワ・ツダの旧友三人が久々に集い、バーで酒を飲むなか、マエカワが強盗の計画を話す。ヤマグチの居る銀行が近々、駅前に新築した支店に移転するため、総額20億5千万を輸送する予定になっている、それを狙おうというのだ。はじめ他の二人は嫌がったものの、慰謝料のため、または自分の出世の妨げである支店長を見返すためといった、それぞれの思惑をひめて襲撃に参加する。
当日、清水と杉井君が現金を運ぶ途中、同乗したヤマグチはツダから貰った発作を起こす薬を飲み、苦しむふりをする。清水たちは急いで助けを呼ぶが、あらかじめ乗っ取っておいた救急車で現れたマエカワに銃撃される。そして負傷した清水を乗せたまま車を奪い、裏磐梯山のアジトへ逃げ込む。マエカワは清水に金庫を開けろと命じるが、鍵は新支店の金庫のなかにあり、それが無ければ絶対開かないとの返答。が、不敵に笑うマエカワは、清水を始末しようと裏磐梯山高原ホテルそばの雪山へ連行・銃弾を浴びせて谷底へ転落させる。
緊急事態の知らせを聞いた高倉キャップ・吉田さん・荒木の三名は急ぎ裏磐梯山へ駆けつけるが、支店長の話によれば「清水は死んだ」「遺体を捜索中」とのこと。そこへ当の清水が現れ、事情を聞いたキャップたちは荒木に介抱を任せ、金を強奪した犯人たちのアジト探しに向かう。
一方、ヤマグチとツダを除け者にし、金を持ち逃げしたマエカワとユキエは、雪山を登る途中でふと立ち止まる。ユキエが雪を掻き分けると、女の死骸が覗けた。その女こそはユキエであった。いままでユキエとして振る舞っていた女がサングラスとマスクを外し、傷を剥ぎ取ると、ワカコの素顔が現れた……てな話。

・手術失敗を「特異体質のせい」の一言で済まそうとする医者が凄い。それを見抜けない無能さも。
・わざわざ「荒木に介抱を任せ」などと明記しているのは、そんな地味なことは吉田さんに任せときゃあいいのにキャップの指示を受け、甲斐甲斐しくも清水の額から流れる血を拭ってやっている荒木が、なんともいえず可愛かったからであって……前にも書いたが、71年の荒木は出席率高し。やる気あり。にしては主役の話が全然なくて、杉井君同様、背景人物に回っているのが不服。といってもこの時期はガードマン自体、ドラマの蚊帳の外にほっぽりだされていることが多いわけだが。白黒時代の方は途中、本部で皆が和気藹々と推理する場面を挟むなど、一応相応の出番もあったし、筋運びも無駄なくまとまりがあった。でも後期になると、真犯人登場によるどんでん返しと動機説明がラストの比重を重くしてしまい、冗長の感がある。二時間サスペンス色濃厚というか。それはそれで面白いんだけどね。