第335話「16歳で結婚!女はつらいネ」

(脚本 藤森明 増村保造/監督 土井茂/出演 関根恵子 津坂匡章 渡辺文雄 藤木孝 藤岡重慶 加藤和夫 三谷昇 中田勉)
 高倉キャップと小森さんが警備するビルの地下一階にあるナイトクラブを乗っとるため、暴力団「ジンバ組」が騒ぎを起こす。が、キャップたちにたやすく追い返される。それでも懲りず、若く威勢のいいちんぴら・ジローの発案で同ビルの「ホクシン商事」から二億円を強奪し、ガードマンの信用を落とし排除しようとする。目論見は成功、やくざどもは邪魔者の居ないクラブで好き放題暴れようとするが、歌うたいに化けた清水、彼のボディガードを自称するキャップたちにまたもや蹴散らされる。
 同じころ小森さんは組織の内情を探るべく、ジローの部屋に居候していた。それを知ったやくざどもは、ジローがガードマンに内通しているのではと疑う。とっちめてやろうといきり立つのを盗み聞いたラーメン屋の店員・ジローを内心恋い慕う少女ヒデは、早速彼に身の危険を知らせるが信じてもらえない。「あたいはあんたと結婚してもいいと思ってたのに」気持ちは嬉しい、でも俺は親分についていく、と言い張るジローの頬を打ち「死んじまえ、馬鹿!」と叫び外へ出たとたん、やくざに捕まってしまう。ジロー、小森さんも拳銃を突きつけられ、ヒデとは別の車で親分の別荘に連れさられる。
 別荘のプールサイド。ビキニ姿の女どもが歓声を送るなか、ジローがリンチを受ける。ヒデは見張り役のやくざの隙をついて逃れ、電話で東京パトロール社に危機を伝える。そしてレースの帽子、真っ赤なビキニ、色眼鏡で変装すると女どもの群れに紛れこみ、親分からライフルを奪う。ジローはすかさず親分を脅迫、二億円を奪う。再びプールサイドに戻るとやくざどもが銃構え急襲、親分ごと皆殺しにしようとする。そこへガードマンが現れ……てな話。

大映末期スター・関根恵子がついに登場。豊かな黒髪、蒲鉾のようになめらかな肌、ぽってりした唇、肉厚な四肢や腰つきが発散する、みずみずしい色気がいまにもはちきれんばかり。いっそはちきれてしまえばいい、その身にたっぷりとたくわえたものすべてを浴びせかけて欲しい、と女ながら願わずにいられない。いや性別とかどうでもいい、自分が関根恵子と同じ分類の生きものだなんて厚かましくも大それた妄想を抱けるはずもなく、ただ羨望し、涎垂らして奮いたつばかりですが。
 今回の相手役は津坂匡章関根恵子大映レモンセックス路線でコンビを組んだ内田喜郎、篠田三郎らが良い意味でデクノボーめいているのに対し、二十代で早くも老境に達したような芸達者振りが凄い。めまぐるしく陽気に動き、喋り、歌い、餃子をほおばりながら愛を叫ぶ彼に、さしもの関根恵子も存在を食われてしまうのでは、と一瞬不安になったものの杞憂でした。後半、やくざに拉致監禁された身でありながらいつ用意したのかと不思議だけれど、ファンサービスとしては絶対不可欠といえる、真っ赤なビキニ姿が全てをかっさらってしまうのだから、これでは津坂匡章だけでなく一応主役のガードマンたちも立つ瀬がない……あ、でも警備失敗→謝罪、清水がナイトクラブの歌手に変装して潜入捜査、事件解決後の荒木の爽やかな一服など、きちんと黄金パターン踏んでいるし、格闘場面のスローモーションが笑えて恰好良いのが収獲です。