第132話「二億円の賭け」

(脚本 山浦弘靖/監督 富本壮吉/出演 新田昌玄 八木昌子 渥美国泰 鈴木瑞穂 名古屋章)
ヒロタ夫妻が喧嘩している最中、邸に怪しげな風体の男が訪ねてくる。男はヤマシタといい、夫婦とは旧知の仲。只ならない因縁があるらしく、不正帳簿の証拠写真を見せて脅迫する。
日曜。荒木がビルを警備中、グランド商事のヒロタ社長に会いたいとヤマシタが現れる。荒木が電話で確認しようとするが社長は話し中。仕方なく通すが直後、階上から銃声が響く。急いで駆けつけるとこめかみを撃ち抜き、手に拳銃を握った社長の死体が。
ヒロタ社長は自殺か他殺か。警察の捜査本部では、拳銃を持つ手から硝煙反応が出たことで自殺説に傾いているようだが荒木は、自殺する直前に電話で話すなどおかしいと疑う。真相を探るべく、警視庁の北刑事と協力してヤマシタのモンタージュ写真を作る。
一方、社長夫人でいまや未亡人のユキコは、顧問弁護士からショッキングな事実を告げられる。社長は会社経営に失敗し、夫人には何一つ財産を残さなかったと言うのだ。それだけでなく、保険会社に訊くと他殺が確定しなければ保険金は支払われないと言う。
ユキコはヤマシタの写真を持ってきた荒木に、彼が社長を殺したのだとほのめかす。裏腹に、ひとりでヤマシタが隠れ住む部屋を訪ねる。二人は元々、恋人同士だったのだ。
ヤマシタは社長の遺書を持っていた。彼は自分が関与し、「詰め腹をきらされた」贈賄事件についての言及があるため、警察には届け出なかったのだと言う。ユキコはしおらしさを装い、遺書を持って警察に行くようヤマシタを説得、一緒にやり直そうと誓う。
渋谷で二人は逢う約束をするが、ユキコは荒木に通報。ヤマシタは荒木と刑事たちに追われることに。その間、ユキコはヤマシタの部屋に忍び込み、植木鉢の底から遺書を盗む。
トラックに轢かれそうな子供を救うため、ヤマシタは思わず飛び出し、遂に捕まる。北刑事の取調べに対し、ヤマシタは容疑を否認。事件当日ヤマシタは、社長から300万円もらうはずだったが、既に自殺した後だった。
荒木はヤマシタの言うとおり、部屋を調べるが遺書を発見できず、かわりに290万の札束を見つける。取調室に現れたユキコは、ヤマシタが社長を脅迫していたと語る。憤慨するヤマシタには目もくれず。だが荒木は、追われる身でありながら子供を助けたヤマシタが人殺しだなどとは信じられない、と庇う。罠にはめられたのではないか、と。
他殺の疑いが濃厚となり、ユキコには二億の保険金が入ることに。記者会見の際、荒木はヒロタ家の邸に居合わせるが、お手伝いの女性の挙動を不審に思う。問いただすと彼女は、留守電を録音したカセットテープを渡す。そこにはユキコへの呪詛ともいうべき、社長の遺言が吹き込まれていた……てな話。

・まだまともだった頃の山浦脚本話。いやはや、荒木が主役だと粗筋書きもよく進む。
・社長夫人の「飽くなき物欲」のせいで会社まで駄目になった! というのは、才のないヘタレ二代目社長の、利己的な言い訳に過ぎんでしょう。