第348話「今晩ワ!私は死のセールスマン」

(脚本 今子正義 増村保造/監督 竹馬伸雄/出演 井上孝雄 川崎あかね 渡辺文雄 藤村有弘 今井健二 加藤和夫 上野山功一)
高倉キャップと小森さんが大空山をパトロール中、貨物ジェット機が墜落。場所はマツイ鉱山。今は住人が居らず廃墟同然。警察と自衛隊が捜索隊を組んで機体を捜すが欠片も発見できず、キャップたちが嘘をついているのではと疑われる。
キャップは単身鉱山へ。崖から落ちる拍子にボタン山に隠されたジェット機を見つける。直後何者かに狙撃され、近くの洞窟へ逃げこむと東京から来たというホステス・ミドリと出会う。彼女も三人の悪漢に銃で狙われたといい、事故の証言者になると約束する。
キャップたちは三人組にダイナマイトやブルドーザーで襲われ、廃村に連行される。三人はミドリ同様東京から来たやくざで、遭難機から最新式のマシンガンや宝石類を盗み、証拠隠蔽のために機体を隠したという。キャップは盗品とともに積まれたカタログから、マシンガンを製造したのは「シンニチ産業」だと知る。隙を突きミドリを連れて逃走、途中サラリーマン風の二人の男に出会い助けを求めるが、相手は同意すると見せかけてキャップたちに撲りかかる。
二人は大企業「シンニチ産業」の社員だった。この「シンニチ産業」、表向きは平和産業だが、裏では死の商人。1971年の円高不況を乗りきるため、密かに武器を外国へ輸出していた、それを世間に知られたら信用を失い潰れるかもしれないと考え、マシンガン15丁を取り戻すべくやって来たのだ。計画の立案者タムラは、部長の命令どおり秘密を知った五人を殺害しようと企む。まずはミドリに一億円やると言い味方に引き入れる。ミドリに下っ端やくざを騙させ、三人を仲間割れさせる。
小森さんはキャップの帰りが遅いことを心配し、本部に救援を要請、モンクレールのダウンジャケット(?)でお洒落した荒木と清水が直ちに駆けつける。
タムラとその部下、やくざたちが衝突、激しい銃撃戦に。「殺人だけは嫌だ」と逃げ腰の部下をタムラが怒鳴る。「会社のためだ」「全員ぶち殺せ、そうすれば出世させてやる」などと煽るが、その甲斐むなしく部下は撃ち殺される。タムラは笑って死体に語りかける。「お前は会社のために死んだんだ、殉職だよ!」
部長が最後のやくざを銃殺、キャップたちを廃墟に追いつめる。が、キャップは証拠のカタログをどこかに隠した、自分が死んでも部下が見つける手はずだと応酬。タムラはミドリを人質に取り、カタログを渡せと迫る。そこに荒木たちが到着、キャップたちと協力して四方へ逃げ、タムラたちを攪乱する。怒ったタムラは乱射するうちに、誤って部長を殺してしまう。それでも狂ったように撃ち続けるが、ミドリが銃を拾い背後から彼の肩を撃つ。自分を騙した上に殺そうとした男を殺すために。
キャップは自首を勧めるが、タムラは一笑に付する。「俺は大企業のサラリーマンだ、警察なんかに捕まってたまるか!」彼はマシンガンで自分の胸を撃つ。連射するたび身体が上下に揺れ、絶叫して遂には地に伏せる。
キャップは荒木たちに問われ、胸元のカタログを見せたあと、自殺したタムラを憐れむ。やくざだけでなしに部長まで自分の手で殺した、もう後はないと判断したのだろう、その気持ちはわかる、と……てな話。

・ガードマンお得意の悪党サラリーマン物。最終回前に真髄が見られて嬉しい。団地妻や怪談物で締めないところに良識を感じます。今回は大企業のエリートサラリーマンがやくざと銃撃戦を繰り広げ、上司まで殺した挙句自殺するという、脂乗りよく満腹な展開。タムラの科白は、自身が企業戦士というキャラクターに酔い痴れていて、いかにも記号的だけれど行動は天下のミシマ並みに箍が外れている。
・川崎あかねが峰不二子みたいで良い。ひとりだけ助かるためにやくざを誘惑し、金に目がくらんで「シンニチ」産業の手先になる。最後は自分を騙す男は許さんとタムラを撃つ。この反省なさが艶。
・荒木と清水が着ている青いジャケット、肩にトリコロールのおんどり模様のマークがあったため、モンクレールの昔のものかと思ったのですが……それはさておき、仲間の救援に行くときもお洒落を欠かさない、そのわりには安月給を嘆いている東パト社のみなさんが好きです。最終回でもポルトガル行きの旅客機に乗る間だけ、ボーイスカウト風にスカーフを巻いてアクセントをつけていたのが可愛らしかった。この〈男も着飾って当然〉という点も、ガードマンと往年の刑事ドラマ(たとえば同じく1965年に放送された五社英雄の『刑事』。半袖シャツ姿に扇子という、典型的にださい刑事が多数登場する)を隔てる魅力の一つだと思います。
・付録。次回予告を書き写しておきます。

海外ロケ12回の実績を持つ『ザ・ガードマン』スタッフが、KLMオランダ航空のジャンボジェット機を駆ってヨーロッパへ飛び、目下総力をあげて大ロケーションを敢行。12月17日「16歳の花嫁に夫が二人?」、12月24日「さよならガードマン!また逢う日まで」の放映にどうぞご期待ください。