第350話「さよならガードマン!また逢う日まで」

(脚本 増村保造 藤森明/監督 土井茂/出演 池部良 関根恵子 入川保則 長谷川哲夫)
高倉キャップは、敵がこちらの計画を事前に知っていたのは、日本人のなかにスパイが居たからだと推理、オザワ支店長が博打うちのキタガワから借金していたと突き止める。オザワの行動を監視し、敵の隠れ家が判明すると、ガードマンたちは修道士に変装して正面から乗りこむ。見張りを倒して奥に進むと、ゴーゴーを踊るヨウコとクボが居た。二人を連れて辛くも脱出、オオイ社長のもとへ帰ると、キャップはオザワを尾行してヨウコの居場所を知ったと告げる。だがオガワは白をきる。
オオイ社長が帰国して披露宴をあげようと話すと、ヨウコは鼻で笑う。自分はまだアリタと正式に結婚していない、二人ともキリスト教徒ではないし、信仰していない神様に誓っても無駄だ、と。そして財閥の御曹司アリタとの政略結婚にけちをつける。アリタはヨウコと二人きりになると寝台に押し倒し、犯そうとする。本当はクボが好きなんだろうと頬を打ち、衣装を剥いで下着姿にする。クボが止めに入り、アリタと殴りあいになるが、キャップたちに追いだされる。オオイ社長がガードマンに厳重に警備しろと命じるが、ヨウコは再びテロリストに誘拐されてしまう。
新たな脅迫状が届き、100万ドルを持ってオオイ社長とオザワだけで来いという。場所はナザレ海岸の別荘。テロリストの手下を自称するクボの案内でオオイたちが入ると、ボスの女が待っていた。オオイが土下座して金を差しだすと、女は高笑いして顔の覆いをとる。その正体はヨウコだった。ヨウコいわく、父親への復讐のために騒ぎを起こした、自作自演の誘拐を手伝った連中は、テロリストではなく乱暴者の群れであり、オザワも自分の味方。オザワは多額の借金があることをゆすられ、ヨウコの共犯となったのだ。
オオイはヨウコに、放っておいても30億もの財産を受け継ぐのに、なぜこんなことをと問う。ヨウコは憤慨し、オオイの拝金主義によって自分や母親、従業員たちが苦しみつづけている、このまま生かしておくわけにはいかないと応え、死刑を宣告する。その前に肉親への情けだ、と得意のフラメンコを披露する。「ただ遊んでいただけじゃないの、ちゃんと勉強していたのよ! パパ!」オオイは慈しむようにみつめながら、娘を「母親そっくりだ」と称える。ヨウコは踊り終えると衣装を脱ぎすて、またも花柄のブラジャーとパンティだけの姿になる。「本音は殺したくない。でもパパはひどすぎる」オオイは何もいわず、命じられるがまま断崖から身を投げようする。そこへガードマンたちが助けに入り、ヨウコの部下を倒す。乱闘の最中、クボが何者かにライフルで殺害される。それを見たオザワが逃げるが、撃たれて海に転落死。ヨウコはクボを抱きしめながら、今やっと自分の気持ちがわかった、彼が生きているときに好きといえばよかった、と泣き叫ぶ。
藤巻潤の「ポルトガルはヨーロッパの果て」が流れるなか、クボの葬式を終え、ヨウコとオオイは墓に花をたむける。オオイは一緒に日本へ帰ろうと勧めるが、ヨウコは一生クボの墓を守って生きていくという。オオイはアリタからガードマンたちは先に帰したと聞くと、一人きりの帰国を決める。するとアリタが二人に銃口を向ける。彼は遂に悪党としての本性をあらわし、100万ドルは自分が持っている、キタガワとオザワも金のために殺した、クボは恋のために殺したのだと打ち明ける。オオイは部下に裏切られた落胆を口にしながら娘を庇う。「逃げて幸せに生きろ!」そこへガードマンが現れ、アリタが会社の金を使いこんでいたことを告げる。アリタが雇った殺し屋集団と乱闘になり、負傷しながらも勝利を得る。父娘も和解、ようやく心を通わせ泣いて抱きあう。
オランダ、アムステルダム。ヨウコとオオイ社長がホテルで踊っていると、ガードマンたちがサンタクロースに扮して二人を祝う。ヨウコが引きとめようとするが、帰国した後もたっぷり仕事が待っているからと辞退する。夜。外は銀世界。蛍の光」がかかるなか、ガードマンたちは馬車に乗り、オオイ父娘に別れを告げて去って行く。
高倉キャップ「ガードマンになって7年目のクリスマスかあ。感慨無量だな」
榊「長いようで短かったな。色々辛いこともあったが、楽しいことも多かったな」
清水「いやあ、ぼくたちは若いんだ。これからも青春をぶつけていきますよ」
小森「青春か。いいねえ……ところで吉田さん、老けましたね」
吉田「ばかもん! わしは毎年若返るんだ」
杉井「ええ、その調子、その調子。これからもがんばりましょう」
荒木「さあ、1972年に向かって景気よくぶっとばしますか」
高倉キャップ「さあ、行くぞ、ガードマン! レッツゴー!」
一同「さようなら。また会う日まで!」

・涙、涙の最終回。当時の放送日が1971年12月24日のクリスマスということで、日を合わせてみました。ラストの「蛍の光」が、一民間企業をメインにすえたドラマの終幕、閉店といった趣が遺憾なくあらわれていて泣かせます。ガードマン自身が物語の柱とはならず、親子愛の後景にさがっているのは残念ですが、榊さんを除く全員によるおもしろおかしい変装や格闘、引用したかけあいだけでも「感慨無量」に楽しめます。
・榊さんだけが全編にわたり別撮りなのがさびしい。藤巻潤の歌謡曲は『銀幕紅白歌合戦<白組> 歌うシネマ・ダンディーズ』というCDに収録されているようで。以前もポルトガルが舞台になった際に流れていましたが、まさか最終回でも聞けるとは。エンドクレジットでも彼の笑顔がトリ。さすが第二の主役。荒木も最後の戦いの突破口を切り開く重要な役で、ファンとしては満足。ちなみに1972年、川津祐介は別のアクションドラマで鬼隊長を演じ、景気よくミサイルをぶっとばすことになるのでありました。
・七年間、誰一人欠けることなく(三原チーフはおいといて)駆け抜けたのは凄い。しかもこれ以上ないほど綺麗な幕引き。娯楽に徹するとはこのこと。これからの自分にとって、出来はどうあれこのドラマを越えるものはない、偏愛しつづけるだろうと確信させるに足る素晴らしさ。で、いまだ愛着が余りあるため、TBSチャンネルの放送分に対しても、気にいった回だけ感想を書いていこうと思います。『ザ・ガードマン』は不滅。