第333話「フランスで死んだ女」

(脚本 池田雄一/監督 井上昭/出演 加賀まりこ 津川雅彦 平泉征 高橋昌也)
 創業以来7年、東京パトロール社の業績はますます発展の一途を辿っている、今後も精進せよ、というわけで高倉キャップが皆にボーナスを配る。なかでも清水は、金のかわりに念願の「フジ1000キロレース」の出場権を与えられるという特別なはからい・その溺愛されっぷりがわかるというもの。榊さん以下他の連中も「メカニックなら任せてください!」「ならおれはピットマンになろう!(ところでピットマンって何?)」などと意気軒昂、レーサー清水のサポートを買ってでる。
 レースではライバルで優勝候補、「モリタレーシング」のコイケと一騎打ち。が、唐突にコイケの車が妙な動きをしたかと思うとクラッシュ、前を走っていた清水は「悪質な走路妨害」を行ったとして失格、激怒したコイケのピットマンたちから暴行を受ける。
 清水は失意に浸る間もなく、じしんの汚名を晴らすべく事故の真相を探る。死んだコイケのかわりにモナコグランプリに出場するヤマジ、コイケの恋人セイコにはりつくが、ふたりともなかなか尻尾をださない。一方ヤマジは、チームのオーナー・モリタの命令通り事故を仕掛けたものの、それをたねに脅され、ダイヤの密輸を手伝うことに。
 「裏に大きな犯罪があるのでは」清水はキャップから航空券をもらうとモナコへ急行、ヤマジを捜す途中、モリタが雇った殺し屋に狙撃される。路地に逃げこむが、今度は謎の金髪美女に肩を撃たれる。女はなおも引き金をひこうとして突如、苦悶の表情で地にひざまずく。その隙に逃げた清水は、モリタが宿泊するホテルに行き、部屋に忍びこむと女に再会。正体は、麻薬中毒に苦しむセイコだった。彼女の打ち明け話によれば、モリタは自分の父親であり、悪事の片棒を担がせた憎むべき男だという。でもクスリのせいで離れられない――そこへヤマジが現れ、清水とセイコを監禁する。彼は清水を替え玉にしたててレースに参加させ、その間にモリタを襲おうと企む。
 モナコグランプリ会場。清水が乗っているとも知らず、殺し屋がマシンを狙撃・策略に気づいた清水はクラッシュしたとみせかけて脱出・ホテルに戻る。が、一足早くヤマジはモリタを撃ち、セイコを連れて逃走・セイコは去り際に、父親に淡々と別れを告げる。
 清水がヤマジの車を追う途中、不意にセイコが運転席のヤマジに掴みかかり車は急停止・清水が駆けつけ撲りあいに。と、セイコが拳銃でヤマジを撃ち殺す。なんらの感傷も寄せつけない無表情で車に座り、歩み寄る清水に言い放つ。「とうとう勝ったわ」そしてレモンを手に転がし、コイケを殺害したのは自分だと明かす。スタートの直前セイコは、睡眠薬を注射したレモンを渡した・モリタはヤマジにボルトを緩めさせただけでなく、用心深くセイコにも殺しを命じていたのだ。「わたしは父の操り人形だった。でも、その父も死んだ」清水は日本へ帰り、もう一度人生をやり直そうと呼びかける。だがセイコは、くすりともせずに言う。「ありがとう。でも、もう遅いわ」次の瞬間、レモンを捨てると車を走らせ、ガードレールを突き破り海に消える……てな話。

・清水のフルネームって「清水武雄」というのですね。333話目にして初めて知りました。雄々しい武人。実質上このドラマの主役として高倉キャップと並びたち、何度撲られ何発撃たれようが次の場面ではぴんぴんしている清水にハゲシク似つかわしい。どの話だったか、「荒木祐介」「榊繁」と呼ばれていた記憶があるため、ガードマンたちの下の名前は役者名からとられていると思っていました。でもそうなると高倉キャップは(以下略)。
モナコグランプリを観戦するレーニエ大公とグレース王妃、それに若かりしジャッキー・スチュワートの姿も。カメオ出演、とは違うか。
・一社員の夢をかなえるべくレースに参加させる、だけでなく宣伝も怠らない東京パトロール社(というかキャップ)に感服。今後もますます発展の一途を辿ることでしょう。