第158話「ガードマン スイス追撃作戦」

(脚本 増村保造/監督 富本壮吉/田村高廣 中原早苗 野添ひとみ 滝田祐介)
第157話「ガードマン パリで大奮戦」のつづきです。
「ガードマン最大のピンチ」に榊さん、杉井君がパリに駆けつける。高倉キャップは榊さんを連れてユリに会い、ルネの正体を訊く。ユリは自分の恋人フルカワを「なんとしても奪い返す」と宣言。一方ルネのアジトに清水、小森さんらとともに監禁されたフルカワは、ルネが自分を騙したと詰る。だが相手にされず、ルネは抵抗する小森さんを杖で滅多打ちにする。
 依頼主のキヨは、ガードマンの不甲斐なさにクサクサし、ウエスギをデートに誘うが、彼は遅刻したうえ「用事がある」と言いさっさとルネのもとへ。ダイヤの預り証を取りに行けという命令に応じ、ウエスギは「積極的に悪事に協力したのだから、ルーレットでつくった借金を棒引きにしてくれ」と頼むが、ルネは拒む。60万フラン(5千万円)もの借金をこの程度で水に流せなどと虫が良過ぎる、一生かけて払え、と。ダイヤはスイスのルッサーヌで売りさばくと語った後、ウエスギと入れかわりにユリが現れる。フルカワを救って欲しい、そうすればあんたの恋人になるというと、ルネは喜んで頷く。
 地下室。フルカワは清水たちに叱責されるが、頑として非を認めない。「ぼくが悪いんじゃない、ぼくの人生が悪いんだ」だが小森さんにやくざはどうしようもない、全員殺されるだろうと脅されると、ようやく実情の深刻さにおののく。ルネの命令でひとり解放されたフルカワは、ユリがルネの愛人になったと知り驚く。
「別れる決心をしたの。これからスイスのルッサーヌに行く」
「悔しかったらお金のための泥棒や密告は止めて、まともな人間になることね」
傷心のフルカワが街路をふらついているとルネの手下に襲われ、榊さんに救出される。
 キャップたちはフルカワの話を訊き、銀行へ。「ダイヤを預けた人間以外には引き渡すな」と厳重に注意するが、ウエスギは、そこが自分の会社の取引先であることを利用し、ダイヤを得る。
 ブローニュの森にて処刑直前、清水と小森さんの救出に成功。フルカワが場所を教えたと知り、小森さんは彼を見直す。
 キヨはウエスギとスイスで挙式することに。キャップたちに行き先も知らせず、ただ「二三日旅行します。ダイヤはきっと取り戻してね。へまをやると承知しないから」との書きおきを残して。榊さんの調査により、ウエスギがダイヤを持ちだして現在、行方不明と発覚。キャップは彼がルネの手下であると勘づく。フルカワも「ルッサーヌに行く」というユリのことばを思い出す。一行は早速スイスへ。
 キャップたちはルネの宿を探すが、変名で泊まっているらしくなかなか見つからない。それでもフルカワは執念で発見、ルネが不在と知ると宿でふたりきりで会う。彼はユリの愛情を信じて疑わず、固く手をとると「口先でなんと言おうと本心は解っている、自分たちに行き先を教えたのだから」と迫る。「またダイヤを横取りするの?」違う、と強調するフルカワにユリは感激し、ダイヤはホテルの金庫に保管してあると教えるがそのとき、ルネが帰ってくる。上機嫌の彼は今夜、マリーノというアメリカのマフィアと宝石を取り引きすると言い、マシンガンを調達しに再び外へ。浴室に隠れていたフルカワは、ユリに自分が「意気地のない人間ではない」ことを証明すると誓う。ユリははじめて率直に、顔をほころばせる。
 キヨとウエスギは挙式後、列車でユングフラウへ。仲よく肩組み歩き、ふと立ち止まるとキスする。
「このまま雪のなかに君を埋めちまおうか」
「よして悪い冗談は」
だがウエスギは本気だと言い、キヨの首を絞める。借金を返すため、財産めあてに結婚しただけだと形相変え、事故にみせかけて雪崩の下敷きにしようとするが、キャップたちが止めに入る。正気に返ったキヨは、ウエスギが殺人未遂でスイス警察に引き渡されたと訊くと、さばさばと言い放つ。
「男と違ってお金はわたしを裏切らない」
 夜の雪道。ルネが取り引き場所へ向かうのを阻止すべく、キャップたちが包囲する。悪党はマシンガンを乱射、フランス語で何事か喚きながらダイナマイトをつめたケースを見せて脅すが、フルカワの捨て身の行動が功を奏す。背後から飛びかかると兇器をひき離し、必死で組み伏せようとする。ガードマンたちも協力し、遂に事件解決。
 教会。最後に男の意地をみせたフルカワがユリと晴れて結婚、キヨはお祝いに金の指輪を贈る。「ダイヤを取り返せたのはフルカワさんのおかげですもの」キャップたちは旅だつふたりに雪球を投げつけ祝福、キヨを見直したという清水は、ちょっとさびしいのじゃないかと訊ねる。
「どういたしまして」キヨはころころ笑う。「これから日本へ帰ってダイヤを売りまくってやる。それに、わたしのこころは晴れ晴れとしているのよ。あのアルプスの山のように……」