ギャクタイ騒動を終えて(?)

例によって柳美里さんについて。5日、6日の日記がやばいくらい面白い。
なにを思ってか他愛もない嘘をつき続けるお子さん。それを徹底的に許すまじとひっぱたき、怒鳴り、号泣しながら迫る柳さん。周囲の迷惑、視線もかえりみず。壮絶な情景。
でも、お子さんの「じゃあ、いいます、今度こそ、ほんとうのことです。ペンケースが100パーセント出てくる場所をいいます」という、まるで大江健三郎の小説に登場する、光さんがモデルとおぼしい登場人物の口調に似たぎこちない敬語づかいやら、テレビのリモコンで髪を切ったなどと言い張る、子供らしい意味不明な頑固さ、そして、ほんとうは爪きりで切ったのだろうと問いただされると「息子は、ニヤリと笑いました。「どうして、わかったの?」」なんて応えるくだりなど、不思議な朗らかさ、おかしみがある。
同時に、柳さんお馴染みの「物語」(困ったときの「東さん」頼み・他人の痛みは自分の痛み、などなど)へと読者をぐいぐい引きずりこむ。短文日記形式を巧みに利用して次々読ませる。さすがの手腕だなと。
それにさすが、転んでも絶対タダでは起きない、強靭な性根。
児童福祉司のみなさん、近い将来、児童虐待をテーマにした小説を書くつもりでおりますので、いい取材になりました。」。
この一節だけでももう、悶絶もの。まさに小説の鬼。
ネットでさらしものにされた経験なども絡めて書くのだろうか。大いに期待しておきますです。