第140話「裏切りは一度だけ」

(脚本 山浦弘靖/監督 中西忠三/出演 今井健二 真山知子 神田隆 早川純一 近藤宏
 清水と小森さんが警備するビルに拳銃を持った強盗が入る。二人の活躍で金庫の五千万円は奪われずに済んだものの、犯人たちは取り逃してしまう。
 東京パトロール社本部。標的にされた観光会社の社長・ヤナギハラがその五千万を持って佐渡へ行くのでガードして欲しいと依頼。「今後、観光地として大いに発展するであろう」佐渡に土地を購入・ホテルを建設するための手付金で、キャッシュでなければ地主が信用しないのだと言う。
 佐渡へ出発。社長、女秘書のコグレサエコ、清水と小森さんが船「おけさ丸」に乗り込むが、社内に強盗たちを手引きしたものが居るのではないかという疑惑もあるため、清水はそれとなくサエコに「秘書になる前何をしていたか」と訊くが、素っ気なくかわされる。
 社長に土地を斡旋したミヒラの車で「ホテル大佐渡」へ。社長と秘書は「ヤナギハラ夫妻」として同室に宿泊。社長に家族は居ない筈だと不思議がる清水に対し、小森さんは「社長と女秘書、よくある関係ではないか」と笑う。
 明朝十時、ミヒラから電話で「地主のクロベが都合悪くなったため、代理人を連れてきた」との知らせ。社長は不安がるが、十年来の付き合いであるミヒラを信頼し一応、ガードマンを側に置いて取引に応じる。だが不安的中、ミヒラと代理人サトウは、強盗団の一味だった。
サトウとサエコは、顔を見合わせるなり驚愕の表情を浮かべる。サトウは動揺を隠すようににこやかに取引を進め、代理人の依頼状を見せて信用を勝ち得る。社長が契約書に押す実印を渡すようサエコに命じるが、サエコは鞄に忍ばせたまま「東京に忘れてきた」と嘘をつく。そして「社に連絡し航空便で送らせれば今夜中には届く、契約は明朝に延期すればいい」と提案。社長も同意。
 「ホテルいづもや」にて、サトウは強盗一味とミヒラに「サエコは昔の女だ」と説明。正体を知られたのでは計画は失敗だと仲間割れしかけるが、サトウが自分にいい考えがあると諌める。
ひとり尖閣湾へ来たサトウを清水が尾行・小森さんにトランシーバーで連絡しながら岩陰で見守るうちに、サエコが姿を現す。五年前捨てられた恨みをいまも抱いたまま、社長の言うなりになって非人間的な生き方を強いられていると嘆くサエコに、サトウは仕方がなかった、大学出のエリートだった自分は出世したさに重役の娘に手を出したが所詮、愛情のない結婚、それにきみのことが忘れられず離婚したのだと応え、「もう一度自分に力を貸して欲しい」「今度こそ真面目になる」などと奇麗事を並べ立て、丸め込もうとする。サエコが黙って去った後、清水が「話は全て聞いた」とサトウに近づき殴り合いになるが、強盗一味に背後から撲られ卒倒。地主のクロベとともに捕縛され、あばら家に監禁される。ついでに見張り役にトランシーバーを奪われてしまう。
 社長に嫌々ながらも抱かれた翌日、サエコはサトウに協力を誓い・ホテルに来るよう伝える。清水の失踪の原因が判明するまで取引を延期して欲しいという、小森さんの願いも空しく社長は、サトウとミヒラを歓迎・契約書にサインし大金を渡そうとする。
 一方あばら家では、見張りの男が寒さしのぎに火を焚き、薪を取りに外へ出る。清水はその火で縄を切る。ついで見張りを倒しクロベを救出、奪い返した通信機で小森さんに「サトウは偽者」だと伝える。真相明らかとなり小森さんは、警察に連行するとサトウに迫るが、サエコに後頭部を撲られ卒倒。驚きサエコに詰め寄ろうとする社長にミヒラが銃を突きつける。五人が強盗の車でホテルから逃げるように去ったことを知り、清水がタクシーで追いかける。
 海岸で清水たちは悪党どもと対峙、一瞬の油断をついて拳銃を奪い乱闘となるが途中、サトウとサエコが五千万を持って金山へ逃げる。荒れ果てた坑道のなかでサトウは、夜を待ち漁船で島を脱出しようと言う。二人はキスするが、その際サエコが銃を掠め取り発砲。復讐の機会を待っていたのだと叫ぶ。奇麗事で丸め込もうとしてもそうはいかない、愛情の蘇生など嘘っぱち、最初から金目当てで自分に近づいてきたことは解りきっている、と。みじめたらしく命乞いするサトウに目もくれず、大量に積み重ねられた石や木材に向けて何度も撃つ。その衝撃で坑道は崩壊寸前、駆けつけた清水たちに説得されても尚、引き鉄を引こうとするサエコもまた雪崩れて来た石に埋もれかけ結局、サトウと一緒に救出されるのだった……てな話。

・ヤハギハラ社長が望んだように、佐渡は、観光地として「大いに発展」したのでしょうか……よう知らんのですけど。「勝手に観光協会」あたりがネタにしやすそうな場所だなーとは思いつつ。
・ラストの本部小芝居、榊さんが居ないと他の誰かが女絡みでイジラレる。今回は荒木。小森さんに「復讐されるような彼女もおらんだろー」と言われて拗ね、唇を尖らせる様子が悪戯小僧っぽくてよかった。ほぼ坊主に近い短髪が余計そう思わせる。にしても、清水と小森さんの怪我の程度の差が激し過ぎるような。一方は頭に包帯ぐるぐる巻きなのに、もう一方は額の隅に小さいガーゼをあてているだけだもんなあ。