第287話「チエミのモーレツ女課長を殺せ!」

・ゲストスターの名を冠した人情話第二弾。1970年の作品には美空ひばり江利チエミに続き「蝶々の〜」なんてのもある。
チエミは利発で勝気なBG、エドガワハナコ役。社長の還暦祝いで高倉キャップと「人生劇場」のデュエットを披露する。「アイコ」や「ポルトガルはヨーロッパの果て」でおなじみ(?)清水なら解るが、キャップの歌を聞くのは初めて。とはいえ、60年代の方に見落とした話が幾つもあるので、他でも歌っているかは知らない。一人で突っ走った結果悪人に利用されたと知り、弱気になるチエミにキャップが「働く女の代表」になれと励ます。で、単純なチエミはまた易々とノせられる。いやでもそっちで頑張る方が断然、チエミの性に合っているとは思うけど。
物語の背景には婦人運動の影響もあるかも知れないけれど、団地物を見る限りでは、真剣に取り組む気はまあないと思う。単にガードマンお得意のサラリーマン物が飽きられ、たまには女でやってみようか、女ならちょっとしたズレも加えられるし、という感じのやっつけ仕事にしか見えない。いずれにせよ主題は「女の受難と不幸」。白黒時代は男が主役のものが多いけれど、高度経済成長に浮かれきって資本家・サラリーマンの視点から悲劇を描きにくくなったのだろうか。
286話に続き南原宏治が登場。当然、会社の帳簿をごまかし、次期社長の椅子を狙う悪党サラリーマンかと思いきや……このドラマには、成田三樹夫戸浦六宏が頻繁に出てくるけれど、いつも悪役という訳ではなく、ときには真面目で義理堅い好漢だったりするから侮れない。