第320話「ボウリング場殺人事件」

(原案 野森華樹/脚本 清水啓司/監督 崎山周/出演 中尾彬 津川雅彦 山東昭子 南原宏治 真山知子 水原麻紀 E・H・エリック 山田二郎 中井啓輔 江角英明)
今月は忙しいため、細かいあらすじ書きは休止。
ボウリング界の女王の座をめぐり山東、真山、水原らが恋愛絡んだ小競りあいに没頭し、あるものは自惚れに滅び、またあるものは殺人を犯し、恩人を裏切ってでも栄誉と莫大な富を得ようとする。同時に、男たちも権力争いに明け暮れる。それがまた中尾、津川、南原と濃い面子。なかでも特筆に価するものは、中尾彬オスの色気でしょう。いまだ「ねじねじ」(マフラー)を巻かず、堅苦しく腕組み説教垂れる気配もない、若く雄々しさ溢れる悪人相、真ん中分けした長い前髪を掻きあげる仕草など、思わず知れず、魅了されたのでありました。
ところで。ガードマンたちが真犯人の家からテープを持ち出し、証拠として突きつけ、万事解決となるわけですが、まさか、高倉キャップたちみずから家宅捜索したわけじゃないですよね……警察から借りたのか。でも、警察が先に入手していたのなら尚更、ガードマンが出る幕はない筈。まあ昔は堂々と、犯人とその愛人の会話など盗聴していたわけで、いまさら、突っ込むのも無粋かもしれませんが。
後期の話は、ゲスト主役、ガードマンが脇役然として後景に引っ込み、捜査経路の省略も目立つ。でもその分、テンポ良く物語が展開する。あら探し、リアリティの欠落を指摘するのは簡単だけれど、それがドラマ自体の魅力を減じることは全然ない。多少の無茶や強引さも、妙味になり得るのだなと。「懐かしドラマ」の強みでもありますね。